書籍目録

『苦笑して我慢して』

エリザベス・キース

『苦笑して我慢して』

1917年 東京刊

Keith, Elizabeth.

GRIN AND BEAR IT: CARICATURES BY ELIZABETH KEITH EXHIBITED AT THE PEER’S CLUB TOKYO NOVEMBER 22, 23, 24, 1917.

Tokyo, “The New East” press(新東洋社), 1917(大正6年). <AB2020271>

Sold

Half Title., 1 leaf(dedication), 1 leaf (preface), 1 leaf (list of illustrations), 128 leaves(not numbered), 1 leaf(colophon), Original pictorial cloth.
本体と背の糊が剥がれているが修復は容易と思われる良好な状態。

Information

新版画家の担い手として活躍したイギリス人エリザベス・キースの来日後最初の作品、第一次世界大戦の赤十字チャリティのために新渡戸稲造らが自ら「犠牲者」となった風刺画集

 このユニークなカリカチュア集は、エリザベス・キース(Elizabeth, Keith, 1887 - 1956)による、当時の日本の政治家をはじめとした政財界の中枢にあった人物たち、ならびに駐日外交官や商社関係者たちを描いた62枚の作品を収録したものです。本書に収録されている作品は、1917年11月22日から24日に華族会館で開催された展覧会で展示された作品をもとにしたもので、この展覧会は、第一次世界大戦の傷病者のための寄付を募る赤十字のチャリティとして開催されました。冒頭に「犠牲者たちへ」とユーモアをもって記されているように、徳川家達や後藤新平、新渡戸稲造といった政財界の大物が、呼びかけに応じてこの赤十字チャリティ展覧会のために、自らの肖像写真をカリカチュアにされることを承知した上でキースの元に送ることで、本書に収録されている作品が誕生したというユニークな背景事情があります。キースは、送られてきた肖像写真を元にして、それぞれの人物に相応しいと考えるモチーフに基づいてカリカチュア作品に落としこんで制作しています。本書は、のちに新版画と呼ばれる新版画運動の中心を担う人物の一人となった人物として著名なアーティストであるキースが来日して最初に手がけた作品集で、新版画運動の仕掛け人である渡辺版画の渡辺庄三郎の目に留まるきっかけとなったとも言われる(諸説あるようで確かな真偽は不明)書物でもあります。

 キースはスコットランドのエディンバラ出身で、アイルランドで育ち家族とともにロンドンに移住し、独学で絵画技術を身につけたと言われていますています。キースの姉であるエルスペットが、本書の出版社である新東洋社(The New East Press)の編集長であったロバートソン=スコット(J. W. Robertson Scott, 1866 - 1962)と1906年に結婚して東京で住んでいたことから、彼女に誘われる形で1915年に来日し、以降9年間にわたって日本に滞在しました。日本への途上でも、そして日本についてからも多くのスケッチを続けていたキースですが、ひょんなきっかけで本書に収録された作品の制作、そして版画家への道を歩むことになりました。

「(上略)エリザベス・キースがプロの版画家として初めて登場したのはほとんど偶然によるのである。東京の華族クラブは1917年、赤十字義援金の協力者を求めていた。キースはそのころ相変わらず妹の家に厄介になっており、スケッチ、ドローイング、絵画などをひっきりなしに描いていた。その成果が義弟(原文ママ、義兄の誤りか;引用者注)のロバートソン=スコットの出版社から出された多色石版画集『苦笑いして我慢して』だった。この作品集は、アメリカ人外交官サマー・ウェルズから徳川候に至る東京の社交会、世界の著名人がモデルの62点の肖像石版画集だった。そしてこれら戯画的な版画は神出鬼没の渡辺庄三郎の目にとまったのである。」
(リチャード・マイルズ / 佐藤実訳「キースとハイド、旅する人と住まう人」横浜美術館『アジアへの眼 外国人の浮世絵師たち』1996年所収、168-169頁より)
 
「スコットランドに生まれ、幼い頃ロンドンに移る。1915年、東京で雑誌『ニュー・イースト』を発行していたロバートソン・スコットと結婚した妹(原文ママ、姉の誤りか:引用者注)エルスペットを訪ねて来日。以後9年間の滞日中に北海道をはじめとする国内各地、中国、朝鮮、フィリピンなどを旅行し、スケッチを重ねる。1917年、赤十字義援金募集のために東京の華族クラブから依頼を受けて、肖像石版画集『苦笑いして我慢して』を義弟(同前:引用者注)の出版社から刊行する。
 1919年、朝鮮を描いた水彩画を東京で展覧したところ、渡辺庄三郎がこれを絶賛し、木版画の制作を勧められる。以後、キースと庄三郎、配下の彫師、摺師との緊密な共同作業によって1938年ごろまでに100点以上の木版画が出版された。1921年、渡辺版画展主催の「新作版画展覧会」が開催され、伊藤深水、川瀬巴水、バートレットらの作品とともにキースの朝鮮を主題とする木版画16点が展示された。」
(猿渡紀代子氏による前掲書94頁の解説文より)

 こうしたひょんなきっかけで制作され、しかもキースを新版画運動へと誘うことになったとも言われる本書ですが、序文でキースが述べているように、第一次世界大戦勃発からすでに4年近くが経過し、義捐金を集めることも困難になりつつあった時期に、「高貴な方々」のカリカチュアを制作し、それを描かれた当人に買い取ってもらい、さらに本書を一部五円で販売して、それらの収益を義捐金にするという、慈善行為とユーモアを結びつけたユニークな試みの産物として生み出されたものです。キースはかなりの短期間で作品を完成させる必要があったようで、しかも送られた来た写真が必ずしも作品を制作するには十分でなかったり、そもそもカリカチュアにされることを恐れてか、写真が送られてこなかったりと、さまざまな困難を乗り越えて制作されたようです。

 描かれている人物は、先に触れたような日本の政界の大物や駐日外国人の要人ばかりで、キースはそんな彼らを遠慮なく戯画化して描いています。キースの戯画化の仕方は、それぞれの人物の特徴や趣味、嗜好などをよく踏まえているように見受けられ、明確なモチーフに基づいて描かれているようです。朝吹常吉がテニスラケットにされているのは、彼が日本におけるテニス競技クラブの創始者だったことに因んでのことと思われますし、当時の来日外国人にとって英文ガイドブックとして最も影響力のあった『マレーの日本旅行者ハンドブック』(A handbook for travellers in Japan. London, 1891(3rd ed.))の著者として知られるチェンバレン(Basil Hall Chamberlain, 1850 - 1935)とメイソン(Willem Benjamin Mason, 1854 - 1923)は、赤い表紙が特徴的だったガイドブックを片手に肩を組んで描かれています。また、『武士道』の著者として知られ、当時の日本における代表的な国際人であった新渡戸稲造は、あえて「お嬢ちゃん」として描くなど、キースのユーモアセンスが遺憾無く発揮されています。キースは身内にも(だからこそ?)容赦無く、日本滞在に際して最も世話になっているであろう、しかも本書の出版も手がけている義兄のロバートソン・スコットも「将来有望なこども」と題した作品の「犠牲者」となっています。62枚の作品の中には、描かれている人物を店主には特定できなかったり、モチーフが理解できなかった作品も多数ありますが、イギリス人国際法学者で外務省の法律顧問だったバティ(Thomas Baty, 1869 - 1954)など、現在ではあまり知られていませんが、当時の日本において大きな影響力のあった駐日外国人も多数描かれていることから、本書は、東京や横浜を中心とした当時の外国人コミュニティの内実を理解するための貴重な手掛かりにもなるのではないかと思われます。

 幕末から明治にかけて日本の政治家や外国人の姿をカリカチュアとして描いた外国人アーティストとしては、『ジャパン・パンチ(Japan Punch)』のワーグマン(Charles Wirgman, 1832 – 1891)、『トバエ(Tobae)』のジョルジュ・ビゴー(Georges Bigot, 1860-1927)が非常によく知られていますが、キースによるこの作品は、ある意味ではこうした系譜の一つに数えられるものなのかもしれません。本書は、チャリティ目的の出版物で、一般の営利目的出版物とは異なるためか、現存するものが非常に少なく、国内研究機関でも所蔵機関は極めて限られており、また古書市場に出現することもかなり稀な作品となってしまっています。さまざまな切り口から読み解くことのできるユニークな書物として、本書は改めて再評価されるべきユーモアあふれる作品と言えるのではないでしょうか。


「この度、三田メディアセンターが新たに収集した本書は、麻のキャンバス地の表紙に『苦笑して我慢して』の題と、中央に苦笑いした達磨の顔の木版画があることからもわかるように、中には肖像風刺画が掲載されている。
 義兄の出版社である新東洋社から刊行されたこの版画集は、1917年11月22日から24日までの3日間、赤十字主催のチャリティを目的に、東京の華族会館(現:霞会館)で行われた風刺画の展示会で、1冊5円で販売された。
 当時、第一次世界大戦の最中で、傷病兵救助のための義捐金集めに行われたこの展示会が、キースにとって画家として初めての展覧会であったが、同時に多くの寄付金を集め成功をおさめた。
 風刺のモデルとなった人物は62名で、展覧会場の提供者でもあり後に赤十字社社長も務めた、徳川家16代当主の徳川家達をはじめ、ヘンリー8世の姿の後藤新平、朝吹英二の長男であり日本庭球協会創立者の朝吹常吉がテニスラケット姿だったり、『武士道』著者の新渡戸稲造が「お嬢ちゃん」と題され、着物を着た初々しい娘姿だったりと、国内の名士たちが面白可笑しく描かれている。加えて、酋長の姿となった英国大使グリーン、「青い鳥」と題された米国大使参事官ウィラーなど、当時日本に滞在していた外国人の外交官や実業家も描かれていて、内外の名士たちが風刺の対象者となっている。彼らの体は、人間だけではなくテニスラケットや本、トランプなど、さまざまな姿に変貌していても、顔は酷似しているのは、本書の冒頭にキースが述べているとおり、モデルに依頼して送ってもらった多くの写真をもとに忠実に描いているからである。
 それらが、キースの作品の一つの特徴でもある鮮やかだが柔らかな色調で印刷されているのは、美術印刷の草分け的存在であった、田中松太郎がキースの要望通りに色を表現したからであろう。
 キースは、展覧会開催にあたって当時の新聞記者に語っているように、風俗や風景、特に人物画を得意としていたため、これ以降も人物画の版画作品を多数残しているが、風刺画は珍しく、これほど多数の風刺画は本書の墓には見られない。おそらく風刺そのものを得意としているよりは、人物の表情や人間性を引き出すことを得意としていたのであろう、風刺自体も本人を批判するような厳しいものというより、モデルの人物像が好意的に表現されるような風刺が行われている。」
(山田摩耶「エリザベス・キース『苦笑して我慢して』--アジアに魅せられた外国人絵師」慶應義塾大学メディアセンター本部編『Medianet』第16号、2009年所収、52-53頁)


なお、本書に収録されている62枚の作品とそれぞれの主題は下記の通りです。

1. 徳川家達:貴人(A nobleman)
2. 井上勝之助(外交官、宗秩寮総裁):ウォルター・ローリー卿(Sir Walter Raleigh)
3. 本野一郎(外務大臣):「ほう、ほう」15世紀の手稿から(”Tally Ho” - from a 15th Century MS.)
4. 加藤友三郎(海軍大臣):「友もなく、助けもなく」第5代ローズベリー伯爵の演説から(”Ploughing his lonely furrow” - after Lord Rosebery.)
5. 後藤新平:ヘンリ8世(Bluff king hal)
6. グリーン(イギリス駐日大使):酋長(The Chief)
7. フランス駐日大使(人名特定できず):レンブラント(After Rembrandt)
8. ロシア駐日大使(バクメテフ?):姿を変えた蒐集家(The collector metamorphosed)
9. スイス特命全権公使(人名特定できず):スイス、よきサマリア人(Switzerland - A good Samaritan)
10. ベルギー特命全権公使(人名特定できず):力こそ正義(Right is Might)
11. 中国特命全権公使(人名特定できず):ちびっ子ジャック・ホーナー(LIttle Jack Horner)
12. Mr. J. Alston(人名特定できず):黄金蝶(The golden butterfly)
13. 朝吹常吉:よきスポーツ(テニスラケット)(A good sport)
14. トマス・バティ(外務省法律顧問):初期ビクトリア朝人(An early Victorian)
15. デベッカー(小林米珂)(著作家、法律家):唯一の道(The only way)
16. ベンティンク(イギリス外交官):若き専業主婦、オーチャードソンの絵画による(The young housewife - after Orchardson)
17. ボールター(イギリス領事館関係者?):「真新しい飾り帯を纏ったビリー」(ハリー・グラハムの詩から)(”Billy in one of his nice new sashes”)
18. ボーデン(オーストラリア外交官):カンガルー(The kangaroo)
19. ブラディ(経歴不明、在日外国人名簿に名前あり):神々の寵児(The darling of the gods)
20. バイアス(『タイムズ』特派員、ジャーナリスト):救世嬢(一次大戦中の流行歌)
21. セシル(聖公会監督):エリザベス1世(Good Queen Bess)
22. クロウ(神戸イギリス領事館館員):妖精パック(Puck)
23. チャルマース(経歴不明):喫煙音楽家(A musical smoker)
24. コゴラン(経歴不明):メルクリウスと彼の車(Mercury and his pram)
25. カミング(経歴不明):「最良のスコッチ」(”Best scotch”)
26. フライシャー(『ジャパン・アドバタイザー』社主):ブッダの蒐集家(A collector of Buddhas)
27. ガーリー(GE関係者?):おぎりさん(O Giri San)
28. ギレット(経歴不明):(意訳できず)(Grave and Gay)(ジョージ・アーノルドの詩?)
29. ヒーリング(L.J. Healing & co.社主):女神の鏡、「こんにちは、ジョン」(Venus’s mirror - “Hello John”)
30. ヒギンボーサム(経歴不明):ご主人の声(His master’s voice)
31. ホーン(アメリカ海軍提督):ネルソン卿(Lord Nelson)
32. ホバート・ハンプデン(経歴不明、サトウ『英和口語辞典』改訂版編者):白うさぎ(『不思議の国のアリス』から)(The white rabbit)
33. ヤーネ(Jaehne)(経歴不明):軽井沢の笛吹(The pied piper of Karuizawa)
34. ラッセル(国際通信社支配人):「真実」(”Truth”)
35. マコーレー(ユニテリアン教会宣教師)マコーレ(The MacCauley)
36. グレゴリー・メイソン(経歴不明):教皇グレゴリー(Pope Gregory)
37. メーソン(英語教師、チェンバレンとともに『英文日本旅行案内』改訂第4版以降の著者)とオレンジ氏(Mr. Orange)(『英文日本旅行案内』と思しき赤い本を手にしていることから、おそらくチェンバレンのことと思われる。なぜオレンジ氏と呼ばれているのかは店主には不明):トゥイードルダムとトゥイードルディー(イギリスの童謡)(Tweedledum and Tweedledee)
38. メドレー(英語教師?、日本で多くの英語教科書を執筆):本の虫(The bookworm)
39. モリソン(貿易商、横浜クリケットクラブほかの創立者):「思い出」(”Memories”)
40. マンロー(考古学者、人類学者、アイヌ研究者):原始人(Primitive man)
41. 新渡戸稲造:お嬢ちゃん(OJO Chan)
42. ノーマン(H.C. Norman)(経歴不明):「ストーン・ジンジャー、理想の女性!」(バーナード・ショウの戯曲『わからぬものですよ』のウェイター)(“Stone Ginger, miss ! Right, miss.” (The Waiter, in Bernard Shaw’s “You Never Can Tell”))
43. ペイン(カナダ太平洋鉄道横浜支社):ぼくのボート(My Boo’ful boat)
44. パーヴィス(造船工学者):「ボブス」(”Bobs”)
45. スコット(キースの姉の夫でジャーナリスト、本書の出版元である『The New East』編集者):将来有望なこども(A promising child)
46. スコット(A.P. Scott)(経歴不明):(意訳できず)(Goodness will out)
47. 幣原喜重郎:幸運を祈る(Good Luck)
48. スレーター(G. B. Slater)(経歴不明):カサビアンカ(フェリシア・ヘマンズによる詩)(Casabianca)
49. スミス(B.F. Smith)(商人、Smith, Baker & Co.):聖スミス(St. Smith)
50. サマービル(オーストラリア軍人、中佐):試金石(Touchstone)
51. ストラーラー(F.F. Strahler)(経歴不明):ハートのキング(Heart of King)
52. スペンサー(Willing Spencer)(経歴不明):キュビスト(The cubist)
53. スウィート(J. Laxon Sweet)(経歴不明):二十歳の盛り(モーティマー・コリンズの小説から)(Sweet and Twenty)
54. チュロス(Dr. Chilien Tsur)(経歴不明):当世流行(A la mode)
55. ワルゼ(M. Lemaire de Warzee)(経歴不明):純粋無垢(Innocence)
56. ウェルズ(アメリカの外交官):「ああ自由よ、その名の下にどれだけの罪が犯されていることか!」(フランス革命の中で処刑されたロラン夫人の言葉)(O liberty! What crimes are committed in thy name)
57. ウィーラー(Dr. E. Wheeler)(経歴不明):ガンズ夫人(ディケンズの小説の登場人物)(Sairey Gamp)
58. ウィーラー(Post Wheeler)(アメリカ領事館、ジャーナリスト):青い鳥(The blue bird)
59. ウィルキンソン(イギリス植民地省、海峡植民地担当):キャプテン・カトル(ディケンズの小説の登場人物)(Captain Cuttle)
60. ウィングフィールド(Charles Wingfield)(イギリス外交官):ライオン・ランパント(The lion rampant)
61. ライト(R. T. Wright)(経歴不明):最良のアイリッシュ(Best Irish)
62. ヤング(ジャーナリスト、『神戸クロニクル』社主):神戸の利他主義者(The Kobe Alturist)

刊行当時のオリジナルクロス装丁。柔らかい布張装丁のため、単体で自立させることが難しい。
タイトルページ。1917年11月22日、23日、24日の3日間にわたって開催された展示会の作品集。
「犠牲者たちへ」と記されているのは、チャリティのためにあえて自らの写真を風刺画の素材としてキースの元に送ってくれた本書に収録されている人々への献辞である。
キースによる序文。本書刊行の経緯が(やや恨み節も込めて)よく書かれてある。
本書には62人の風刺画とされた「犠牲者たち」が描かれている。
上掲続き。店主には人物の経歴を特定できなかった者も多い。
それぞれの作品は、1枚目に描かれている人物とタイトルが、2枚目にその作品という掲載方法で収録されている。
1. 徳川家達:貴人(A nobleman)
2. 井上勝之助(外交官、宗秩寮総裁):ウォルター・ローリー卿(Sir Walter Raleigh)
3. 本野一郎(外務大臣):「ほう、ほう」15世紀の手稿から(”Tally Ho” - from a 15th Century MS.)
4. 加藤友三郎(海軍大臣):「友もなく、助けもなく」第5代ローズベリー伯爵の演説から(”Ploughing his lonely furrow” - after Lord Rosebery.)
5. 後藤新平:ヘンリ8世(Bluff king hal)
6. グリーン(イギリス駐日大使):酋長(The Chief)
8. ロシア駐日大使(バクメテフ?):姿を変えた蒐集家(The collector metamorphosed)
9. スイス特命全権公使(人名特定できず):スイス、よきサマリア人(Switzerland - A good Samaritan)
11. 中国特命全権公使(人名特定できず):ちびっ子ジャック・ホーナー(LIttle Jack Horner)
14. トマス・バティ(外務省法律顧問):初期ビクトリア朝人(An early Victorian)
15. デベッカー(小林米珂)(著作家、法律家):唯一の道(The only way)
18. ボーデン(オーストラリア外交官):カンガルー(The kangaroo)
22. クロウ(神戸イギリス領事館館員):妖精パック(Puck)
26. フライシャー(『ジャパン・アドバタイザー』社主):ブッダの蒐集家(A collector of Buddhas)
32. ホバート・ハンプデン(経歴不明、サトウ『英和口語辞典』改訂版編者):白うさぎ(『不思議の国のアリス』から)(The white rabbit)
33. ヤーネ(Jaehne)(経歴不明):軽井沢の笛吹(The pied piper of Karuizawa)
34. ラッセル(国際通信社支配人):「真実」(”Truth”)
37. メーソン(英語教師、チェンバレンとともに『英文日本旅行案内』改訂第4版以降の著者)とオレンジ氏(Mr. Orange)(『英文日本旅行案内』と思しき赤い本を手にしていることから、おそらくチェンバレンのことと思われる。なぜオレンジ氏と呼ばれているのかは店主には不明):トゥイードルダムとトゥイードルディー(イギリスの童謡)(Tweedledum and Tweedledee)
38. メドレー(英語教師?、日本で多くの英語教科書を執筆):本の虫(The bookworm)
39. モリソン(貿易商、横浜クリケットクラブほかの創立者):「思い出」(”Memories”)
40. マンロー(考古学者、人類学者、アイヌ研究者):原始人(Primitive man)
41. 新渡戸稲造:お嬢ちゃん(OJO Chan)
45. スコット(キースの姉エルスペットの夫でジャーナリスト、本書の出版元である『The New East』編輯者):将来有望なこども(A promising child)
47. 幣原喜重郎:幸運を祈る(Good Luck)
56. ウェルズ(アメリカの外交官):「ああ自由よ、その名の下にどれだけの罪が犯されていることか!」(フランス革命の中で処刑されたロラン夫人の言葉)(O liberty! What crimes are committed in thy name)
59. ウィルキンソン(イギリス植民地省、海峡植民地担当):キャプテン・カトル(ディケンズの小説の登場人物)(Captain Cuttle)
62. ヤング(ジャーナリスト、『神戸クロニクル』社主):神戸の利他主義者(The Kobe Alturist)
奥付。
背表紙の糊が剥がれてしまっているが、修復は容易に可能と思われる。