書籍目録

『サロメ』

ワイルド / ビアズリー(挿絵) / ダグラス(英訳) / ロス(序文)

『サロメ』

英訳第2版、ビアズリー挿絵完全版初版 1907年 ロンドン、ニューヨーク刊

Wilde, Oscar / Beardsley, Aubrey Vincent(illustrator) / Douglas, Alfred Bruce (translator) / Ross, Robbie (note)

SALOME. A TRAGEDY IN ONE AVT: TRANSLATED FROM THE FRENCH OF OSCAR WILDE, WITH SIXTEEN DRAWINGS BY AUBREY BEARDSLEY

London / New York, JOHN LANE, THE BODLEY HEAD, MCMVII(1907). <AB201785>

Sold

Edition in English

Large 8vo, pp.[i-xii], xiii-xviii, 4 leaves, pp.1-65, [66], 1 leaf. Plates by Beardsley: [16], Original decorative cloth designed by Beardsley

Information

ビアズリーによる挿絵を全て収録した記念すべき英訳第2版。ロスによる序文付属。

 本書は、オスカー・ワイルド(Oscar Fingal O'Flahertie Wilde, 1854 - 1900)による作品の中でも最も有名な作品である戯曲『サロメ』の英訳版です。『サロメ』は、ワイルドのパリ滞在中の1891年に執筆されたものとされており、1893年にフランス語で刊行されました。ワイルドのパートナーであったダグラス(Alfred Bruce Douglas, 1870 - 1945)が手がけた英訳版は翌1894年に刊行されています。
 
 この作品に必要不可欠とされるビアズリー(Aubrey Vincent Beardsley, 1872 - 1898)による挿絵は、1894年の英訳版にも掲載されていましたが、この際に採用されなかった作品があり、それらを全て収録したビアズリー完全版とされているのが、本書である英訳第2版です。口絵やタイトルページ、本文中など計16枚のビアズリー作品が収録されています。出版社は、初版と同じくロンドンのJohn Lane、そしてBodley Headが担っています。今では非常によく知られるビアズリーによるデザインが施されたクロス装丁が非常に印象的です。

 本書は、ワイルドのかつてのパートナーでワイルドの死後、その作品の著作権管理に尽力したロス(Robbie Ross, 1869 - 1918)による序文がテキストに先立って収録されていることも特筆すべき点で、イングランドで最初の上演となった1905年のNew Stage Clubでのキャスト、ドイツ語訳を元にシュトラウス(Richard Georg Strauss, 1864 - 1949)によって歌劇として上演された1906年の上演告知とキャストも収録されており、当時の『サロメ』受容を理解する上で重要な資料ともなっています。また、巻末にはレーン社が刊行していたビアズリー作品のカタログが付されています。

ビアズリーによるこの装丁デザインは『サロメ』の代名詞でもある。
口絵とタイトルページ。
ロスによる序文(解説)冒頭部分。
収録されているビアズリーの図版リスト。リスト自身がビアズリーの作品によって構成されている。
イングランドで初演となった1905年のキャスト。
ドイツ語版を歌劇作品として上演し、好評を博した1906年のシュトラウスによる舞台キャスト。
図版とテキストは異なる紙を用いて印刷されている。
巻末のレーン社によるビアズリーの作品集のカタログ。
小口の天の部分には金箔があしらわれている。
背面