書籍目録

『聖なるイエズス会士礼賛』

[ヴェロン] / (ザビエル)/(日本二十六聖人殉教事件)

『聖なるイエズス会士礼賛』

初版 1795年 パリ刊

[Verron, Nicholas].

NEUVAINES EN L’HONNEUR DES SAINTS DE LA COMPAGNIE DE JÉSUS. S. IGNACE DE LOYOLA, Fon-dateur. S. FRANC(ç)OIS XAVIER, Apórte des Indes & Japon. S. FRANC(ç)OIS DE BORGIA, troisieme Général. S. JEAN-FRANC(ç)OIS RÉGIS, MIssionnaire. S. LOUIS DE GONZAGUE, Etudi

Paris, chez LECHARLIER, libraire, 1795. <AB20177>

Sold

First edition

12mo, fly title, Front., pp. [i-iii]iv-xiv, [15]16-63[64]65-101[102]103-181[182]183-432, pp.[1]2-24: plates [8]. All engravings with the protecting tissues, Contemporary calf

Information

ザビエル、パウロ三木らを銅版画とともに紹介

 本書は、イエズス会創設者であるロヨラ(Ignacio López de Loyola, 1491 – 1556)や、日本をはじめとしたアジア伝道で成果を上げたザビエル(Francisco de Xavier, 1506 – 1552)と言った著名なイエズス士の偉業を讃える礼賛の書です。

 ザビエルはロヨラについで二番目に取り上げられており、約50頁にわたって彼の偉業が紹介されるとともに讃えられており、日本での布教の様子も取り上げられています。また、非常にユニークなのは、1597年に秀吉の命によって26人のカソリック信者が処刑された「二十六聖人の殉教」におけるイエズス会の三人の殉教者である、パウロ三木(Paul Miki, ? – 1597)、五島のヨハネ草庵(Jean de Goto, ? – 1597)、ヤコボ喜斎(Jacques Kisai, ? – 1597)が彼らの銅版画(想像による)とともに一章を割いて紹介されていることです。彼らが大阪で捉えられてから刑を受けるまでの振る舞いを賞賛とともに紹介しています。また、この章の最後には「二十六聖人の殉教」も含めた日本での殉教者の名簿も付されています。また書物全体の最後には、各章の注と、それぞれの偉人を讃える詩が寄せられています。
 
 なお、本書が刊行されたのは1795年ですが、その約20年前の1773年にイエズス会は、公式にはその活動を禁止されており、非常に苦しい状況にありました。本書の著者と目されるヴェロン(Nicolas Verron, 1740 – 1792)自身も、フランス革命戦争の最中、1795年に起きた9月虐殺で命を落としています。彼の死後、残された信者が編纂して本書を刊行したと思われますが、イエズス会復興の許可が下りた1814年以降も読み継がれていたと思われ、1820年には同じ銅版画を用いて再版されています。
 
 日本研究において重要と思われる本書ですが、著名な日本研究文献目録には収録されておらず、国内の所蔵も国際日本文化研究センターにしか確認できません。

  • ザビエル像
  • パウロ三木らを描いた図