書籍目録

『茶の花』(楽譜)

ルコック

『茶の花』(楽譜)

[1868年] パリ刊

Lecoq, Charles.

FLEUR de THÉ: OPÉRA BOUFFE EN 3 ACTES.

Paris, C. Joubert, [1868]. <AB2019136>

Sold

19.2 cm x 28.0 cm, Title., 1 leaf, pp.1-146, Original paper wrapped.
背表紙部分が紙テープで簡易補修されている。一部封切りされていないページあり。

Information

「コシキ(古事記」の先駆けとなった日本と中国のイメージが混合したオペレッタ楽曲集

「シャルル・ルコック(1832〜1918)は、フランスのオペレッタ界ではオッフェンバックに次ぐ重要な存在であり、生涯に50以上ものオペレッタを作曲した。(中略)ルコックが36歳の1868年にアテネ座で初演された《茶の花》という三幕物のオペレッタは、彼の出世作であったが、新グローブ音楽辞典によれば、これは当時の流行に沿った日本を題材にしたものということになっている。日本で出ている『クラシック音楽作品辞典』や他の欧米の音楽辞典もだいたい同じような記述をしている。確かに1868年(明治元年)は日本が初めて公式に参加したパリ万博が開かれた翌年であるので、特に人気の高かった日本を題材にしたオペレッタが描かれていても不思議はない。しかしこれは、K・ゲンツルが『歌劇場百科事典』の中で詳細に紹介しているように、明らかに中国を題材にしたオペレッタである。これが描かれた年代からして、その舞台装置や衣装などが日本か中国か判然としないものであったと想像でき、それがこのような誤解を招く一因となったことであろう。なお、古く昭和27年に出版された太田黒元氏の『オペレッタ解説』の中のルコックの記述では、《茶の花》が中国を題材にしていることは確からしいとしている。またジークフリート・クラカウアーもオッフェンバックの伝記の中で同じように述べている。」


(岩田隆『ロマン派音楽の多彩な世界』朱鳥社、2005年、137-138頁より)