カテゴリ一覧を見る
Categories
1818年 フィレンツェ刊
Borghi, B(artolomeo).
L' IMPERO DELLA CHINA E L' IMPERO DEL GIAPPONE.
Florence, 1818. <AB201951>
Sold
1 sheet map (35.5 cm x 46.5 cm), contemporary colored,
Information
本図は、イタリアの数学者、地図製作者であったボルギ(Bartolomeo Borghi, 1750 - 1821)が1819年に刊行した地図帳(Atlante Generale dell Ab: Bartolomeo Borghi...1819)に収録された中国、日本図で、1818年に作成された旨が記されています。ボルギは当時のヨーロッパで最良の地図学者の一人ともいわれるほど高く評価されており、それを裏付けるように本図で描かれている日本についても、当時最新にして最も正確な図の一つに位置付けられるものです。 ボルギの描く日本の図は、間宮海峡を正確に描いた点も含め、19世紀初頭の日本図としては、極めて正確なものといえるものです。ボルギは当時入手し得た最新の情報を収集し、それらを総合的に組み合わせて本図を作成したのではないかと思われます。直接的に範をとったと思われるのは、1813年に刊行されたジョーンズ(E. Jones)の「日本諸島図(Islands of Japan」で、この地図は、クルーゼンシュテルン(Adam Johann von Krusenstern, 1770 - 1846)やブロートン(William Robert Broughton, 1762 - 1821)による最新の日本近海の測量情報に基づいて作成された地図で、蝦夷(北海)を含めて、これまでの西洋における日本図にはない新しい正確な日本図として知られています。しかし、ボルギはジョーンズによる地図だけに頼ることはなかったようで、地名の追記や輪郭の描き方にかなり手を加えており、複数の情報源を元日本図が作成されていることが伺えます。 本図は、日本単体ではなく、中国とともに描かれた図であったため、これまであまり注目されることがなかった地図と思われますが、ボルギの地図帳はナポレオン戦争終結後のウィーン体制の世界を正確に反映した地図帳として、当時ヨーロッパ中で高く評価され、大きな影響力を有したと言われており、そこに収録された本図の持った影響力も小さくなかったことが推察されます。19世紀初頭に日本を描いた地図として、極めて正確なものであることから、その情報源や後年の地図への影響についてのより詳細な研究が待たれる図と言えるでしょう。