書籍目録

『日本における最初の殉教者達(1597年長崎での26聖人殉教):書誌学的叙説』

カルロ / カルヴォ / (日本二十六聖人殉教事件)

『日本における最初の殉教者達(1597年長崎での26聖人殉教):書誌学的叙説』

1954年 メキシコシティ刊

Carlo, Agustin Millares / Calvo, Julian.

LOS PROTOMARTIRES DEL JAPON (Nagasaki, 1597): Ensayo bibliográfico

Mexico, Fondo Pagliai, 1954. <AB201920>

Sold

24.3 cm x 32.0 cm, Title., 106 leaves (not paged), with a plate, Original paper wrappers.

Information

26聖人殉教事件」に関する文献、文書を網羅的に収録した資料目録

「(前略)ガレオン遭難事件後生じたのが、長崎殉教事件である。この殉教事件は、カトリックにとって突然ではあるが、大きな意味を持った。それはまさに、当時既に明白な事実として語られていたキリストの磔刑に類似する出来事であったからである。その話題がヨーロッパを席巻していく。(中略)
 まず、長崎殉教事件がそれらの地で歴史的事象として広まった最初の過程を見ていく。それは二つのルートによるヨーロッパ(スペイン)への伝達から始まった。
 ひとつ目のルートは、日本から発信された情報が、マカオ、ゴアそしてポルトガルへと届くポルトガル圏ルートである。そして二つ目がスペイン圏ルートで、マニラを経由し、太平洋を越え、ヌエバ・エスパーニャのアカプルコ港を経由して、メキシコ市へ届く。その後、メキシコ市からベラクルス市を経て、大西洋を越え、スペインへ伝わるのである。このように、日本で生じた出来事はこの双方のルートからヨーロッパまで伝達された。
 これらのルートによってヨーロッパに伝達された殉教事件は、活字化され広まっていった。(中略)幸いにもミジャーレス・イ・カルロとフリアン・カルボ両氏の共著『日本の最初の殉教者(1597年)–史資料集』が、手稿30点とヨーロッパ言語で活字印刷された400点以上もの殉教事件関連の史資料(1592年から1953年まで)を提供している。そこに収集された史料がすべてというわけではないが、事件が生じる以前の関連資料も含む貴重な文献集である。
 これらの史料には、事件を目の当たりにした証人が記したもの、あるいは、事件直後に第三者が書き上げたものがある。その形態は、私的書簡や公的書簡、報告や記録を目的として書かれたものなど多岐にわたる。その中には、初めから印刷を目的として書かれたものがあると同時に、それが目的ではなかったが、実際には活字にされたものがある。そのどちらも、活字印刷されたものは事件の内容を広める直接的役割を担った。(後略)」
(川田玲子『メキシコにおける聖フェリーぺ・デ・ヘスス崇拝の変遷史:神の沈黙を超えて』明石書店、2019年、72頁より)