本書は、1889年に制定された大日本帝国憲法とそれに関連する資料を英訳して刊行したもので、ニューヨークにあったと思われる出版社Brentano's Printから出版されています。本書の底本となったのは、伊藤博文の著作として刊行された『大日本帝国憲法義解』を伊東巳代治が英訳し、英吉利法学校総代の高橋健三の序文を付して1889年に刊行された『英文帝国憲法義解(Commentaries on the constitution of the Empire of Japan.)』であると思われ、伊東巳代治の訳と同じテキストが収録されています。
『英文帝国憲法義解』は、欧米各国に帝国憲法を広くアピールするために刊行されたものですが、英吉利法律学校による出版物として東京で刊行されているのに対して、本書はアメリカの出版社がアメリカで出版しており、おそらくアメリカ国内の出版物として最初の帝国憲法であると思われます。本書には、下記の9つの資料が合冊されています。
①IMPERIAL OATH AT THE SANCTUARY OF THE IMPERIAL PALACE.
Title., 1 leaf(not paged).
②IMPERIAL SPEECH ON THE PROMULGATION OF THE CONSTITUTION.
Title., 1 leaf(not paged).
③THE CONSTITUTION OF THE EMPIRE OF JAPAN.
Title., 1 leaf, pp.[1], 2-14.
④LAW OF THE HOUSES.
Title., 1 leaf, pp.[1], 2-22.
⑤LAW OF ELECTION FOR THE MEMBERS OF THE HOUSE OF REPRESENTATIVES.
Title., 1 leaf, pp.[1], 2-28.
⑥APPENDIX OF THE LAW OF ELECTION FOR THE MEMBERS OF THE HOUSE OF REPRESENTATIVES.
Title., pp.[1], 2-26.
⑦THE LAW OF FINANCE.
Title., 1 leaf, pp.[1], 2-12.
⑧IMPERIAL ORDINANCE CONCERNING THE HOUSE OF PEERS.
Title., 1 leaf, pp.[1], 2-4.
⑨THE IMPERIAL HOUSE LAW.
Title., 1 leaf, pp.[1], 2-13.
それぞれの資料に独立した頁付がなされていることから、本書は、もともと個別に印刷、発行されたものを合冊したものと思われます。本書とほぼ同時期にロンドンのSmith Kayから刊行された英訳本(おそらくこちらは、イギリスで刊行された最初の帝国憲法と思われます)は、本書と非常によく似た構成となっていますが、通しの頁付がなされています。