書籍目録

「朝鮮・日本図」

トムソン

「朝鮮・日本図」

1815年 ロンドン刊

Thomson, John.

COREA AND JAPAN. (Drawn & Engraved in Thomson's New General Atls, 16th. Aug.t 1815.)

London, John Thomson, 1815. <AB2018206>

¥77,000

1 sheet map (52. 3 cm x 71.5 cm), contemporary hand colored.

Information

19世紀初頭までの系譜から脱却した19世紀を代表する新しい日本図

 本図は1815年に刊行されたトムソン(John Thomson, 1777 - 1840?)の『新一般地図帳(New General Atlas. 1815)に収録された日本と朝鮮半島を描いた地図です。19世紀に入ってから正確さが向上していく日本図を代表するものの一つで、北海道南部や本州北端の輪郭がそれまでの地図と比べて格段に正確に描かれている点に特徴があります。

 18世紀末に至るまでヨーロッパにおける日本図作成は様々な混乱が見られ各種の日本図が作成されていますが、中でもケンペル・ショイヒツィアー型は強い影響力を有しており、この系譜にわずかな手直しが施された日本図が非常に多く生み出されたものの、正確さの点における進歩には芳しいものは見られませんでした。19世紀初頭もしばらくこの傾向が続きますが、1813年にミルバーン(William Milburn)が刊行した『東洋の商業(Oriental Commerce. 2 vols. 1813)』に収録された日本図は、ブロートン(William Robert (William Robert Broughton, 1762 - 1821)やクルーゼンシュテルン(Adam Johann von Krusenstern, 1770 - 1846)らといった日本沿岸地域の測量を行った人物らがもたらした最新の情報を反映させ、旧来の様式を脱却した新しい日本図を提供することになります。本図は、この地図をさらに改良したものと思われ、上述した点に加えて、西日本(九州、四国、瀬戸内海)の各地域の海岸線の輪郭をより正確なものにしています。地名については誤りが見られる点があるものの、18世紀末までの系譜に依存しない新しい日本図として、正確性を格段に向上させた重要な日本図であると言えます。イギリスで刊行されている地図帳に収録されているため、当然子午線はグリニッジを採用し、距離についてはマイル表示となっています。当時のものと思われる手彩色が施されており、実用性に加えて美的な観点においても一定の鑑賞に耐えうる品質を有する日本図です。

本州北端と北海道南端の輪郭線は、それ以前の地図と比べてより正確になっている。
本州全体の海岸線も正確さが向上している。
18世紀末までのものと比べて、西日本の海岸線は正確さを格段に向上させている。
トムソンの地図帳のために作成された地図であることや出版年、グリニッジを子午線とすることなど、基本的な情報が記載されている。
距離はマイル表示