書籍目録

『旅行記集成 第2巻』

(プレヴォ)

『旅行記集成 第2巻』

オランダ語訳版 1747年 ハーグ刊

(Prévost, Antoine François de.)

HISTORISCHE BESCHRYVING DER REIZEN. OF NIEUWE EN VOLKOOME VERZAMELING VAN DE ALLER-WAARDIGSTE EN ZELDSAAMSTE ZEE- EN LANDTOGTEN,...TWEDE DEEL.

Hague, Pieter de Hondt, M. DCC. XLVII. <AB201819>

Sold

First edition in Dutch.

4to (20.0 cm x 26.0cm), Title, 3 leaves, pp.[1], 2-444, 2 leaves (TAFEL), Folding maps / plates [8], Maps / Plates [9], contemporary full calf.

Information

江戸時代の舶載蘭書としてヨーロッパにおける日本情報を伝えた重要文献

「プレヴォー・デグジル(通称アベ=プレヴォー Abbé Prévost)は、18世紀中ころのフランスの小説家、ジャーナリスト。フランス政府による海外植民思想の推進策に則り、ロンドンで刊行の始まったグリーン(John Green, fl. 1750-53)『新旅行記集成』をフランス語訳(パリ版という)した。底本は途中で廃刊となったが、その後もパリ版の出版はつづき、プレヴォー没後にも補遺が出版された。
 このパリ版に対して、英語原文に基づく修正と、オランダの国益の立場から東インド植民地について詳述を加えたものが、ハーグ版(1748−68年 全25巻)といわれる偽版である。本書は、ハーグ版のオランダ語訳版で、江戸時代舶載蘭書としても著名である。
 掲出頁は、第2巻所収ジョン・セーリス(John Saris, ca.1579-1643)『日本渡航記』の箇所。
 福知山藩主朽木昌綱が平戸藩主松浦静山にイギリス人の平戸航海記事について知らせるもととなった箇所である。」
(「24 旅行記集成 プレヴォー・デグジル ハーグ 1747−67 21冊」解説、天理大学付属天理図書館編『天理図書館開館71周年記念展 大海原へ〜コロンブスからペリーにみる西洋航海記〜』天理時報社、2001年 所収より) 

 本書は、上記目録にて紹介されているプレヴォ『旅行記集成』の珍しいオランダ語版第2巻です。プレヴォー『旅行記集成』は、オランダ語、ドイツ語、イタリア語などヨーロッパ各国語に翻訳された18世紀を代表する旅行記集成ですが、収録される多くの地図をフランスの地理学者、地図製作者であったベラン(Jacques-Nicolas Bellin, 1703 - 1772)が描いたことでも有名です。ベランはプレヴォの『旅行記集成』をはじめとして、シャルルボア(Pierre-François-Xavier, 1682 - 1761)の『日本史(Histoire et description générale du Japon. 1736)』にも、数種類の日本地図を描いていることで知られています。

 本書に収録されている日本関係記事は、イギリスから日本に派遣された最初の公式船の船長セーリス(John Saris, 1579? - 1643)の航海記、セーリスが徳川家康から貿易と商館設置を認められたことを受け、平戸に設置されたイギリス商館の商館長を務めたコックス(Richard Cocks, 1566 - 1624)の公務日記、イングランド人航海士で、オランダ船リーフデ号で日本に漂着し、家康の外交顧問となったアダムス(William Adams, 1564 - 1620)に関する記事です。これらの日本関係記事は、上述の解説文にあるように江戸時代の日本にもたらされたことでも重要な意味を有しています。

タイトルページ。恐ろしく長い表題である。
セーリス航海記の冒頭部分。
折り込みの日本近海地図が収録されている。
  • 日本関連図版①
  • 日本関連図版②
徳川家康からの朱印状のオランダ語訳掲載部分。源家康(MINNA MONTTONO. Yei, Ye, Yeas.)とある。
平戸イギリス商館長リチャード・コックスの商務日記。
家康の外交顧問となったアダムス関連記事。
  • 当時の革装丁のまま。
  • 状態は良好と言える。