書籍目録

『ポルトガル領アジア』全6巻

ファリァ・イ・ソーザ

『ポルトガル領アジア』全6巻

詳細索引・序文付、新編集ポルトガル語版 1945年ー1947年 ポルト刊

Faria e Sousa, Manuel de / Pereira de Matos, Isabel Ferreira do Amaral / Garcia Santos Ferreira, Maria Vitória / Almeida, Manuel Lopes de (Introduction)

ÁSIA PORTUGUESA. (BIBLIOTECA HISTÓRICA-SÉRIE ULTRAMARINA)

Pôrto, Livraria Civilização, 1945 - 1947. <AB201814>

Sold

8vo (15.5 cm x 22.0 cm), 6 vols. Vol.1: pp.[I-IX], X-XXXII, [1-5], 6-360, 4 lvs., 8 Plates, Vol.2: pp.[1-7], 8-370, 3 lvs., 3 Plates, Vol.3: pp.[1-7], 8-354, 3 lvs., 3 Plates, Vol.4: pp.[1-7], 8-86[i.e.286], 287-408, 3 lvs., 3 Plates, Vol. 5: pp.[1-9], 10-356, 2 lvs., 1 Plate, Vol. 6: pp.[1-7], 8-642, 3 lvs., 1 Plate. Contemporary three-quarter calf.
所々封切りされていないページあり。

Information

ポルトガルによる日本を含むアジア史。詳細な索引、序文など有用な研究情報をふんだんに盛り込んだ新版

 本書は、ポルトガルの歴史家ファリァ・イ・ソーザ(Manuel de Faria y Sousa, 1590 - 1649)によって書かれた全3巻からなる大部の著作『ポルトガル領アジア(Asia Protuguesa, 1666-1675.)を、第二次世界大戦後の1945年から1947年にかけてポルトガル語に翻訳し、新たな序文と詳細な索引を付して刊行したものです。

 原著のタイトルにあるようにポルトガルによる15世紀末から17世紀までの東インド進出の歴史をまとめ上げた歴史書として、原著刊行当時から高い評価を受けている文献を現代の研究に用いるために編纂し直したもので、研究資料として大変有用なものとなっています。特に日本研究においては、原著では関連記事がどこにあるのかを見つけ出すことが容易ではなく、また極めて少ないと思われがちでしたが、本書に付された索引を参照することで、該当箇所を容易に見つけ出すことが可能になり、またその数が決して少ないことがわかります。原著にあった図版についてもファクシミリという形で極力オリジナルに近いものを再現している点も学術資料として重要な点です。


「マヌエル・デ・ファリァ・イ・ソーザ(Manuel de Faria y Sousa, 1590-1649)は、ポルトガルの歴史家で詩人でもあるが、殆どはスペイン語で著している。少年期からオポルトの司教の書記を務め、歴史学や文学の勉学を続けた。その後、スペイン滞在を経てリスボンに戻り、ローマ法庁への特使カステーリョ・ロドリゴ侯爵の書記としてローマへ赴いた。そこで、詩人としての業績を評価され、法王ウルバーヌス八世より顕彰された。
 本書は、著者の没後に息子ペドロが全三巻に編集したもので、1498年にパスコ・ダ・ガマが喜望峰を経由してインドのカリカットに到着した、所謂インド航路発見以降、17世紀半ばのポルトガル人のアジア進出について記述されている。その地域はインドから東南アジア、さらには日本にも及び、植民地の設立やアジアの国々の現状が述べられている。
 日本については、第二巻の第1部第11章に、三人のポルトガル人水夫が1542年に種子島に漂着した記載がある。この水夫三人とは、メンデンス・ピント達であると書かれており、メンデンス・ピントの"Peregrinaçam"(『遍歴記』)を参考にしたと思われる。また、第三巻の第3部第22章には、イエズス会士が派遣したポルトガル人宣教師の日本での布教活動が紹介されている。
 本書はポルトガル人の航海記や探検記を体系づけて編集したものであり、ポルトガルのアジア植民史の集大成と捉えることができよう。」

(京都外国語大学附属図書館編『知られざる世界への挑戦:航海、探検、漂流を記した書物百選』京都外国大学附属図書館、2012年より)
 

タイトルページ。
原著のタイトルページのファクシミリも収録している。
本書のために新たに書かれた序文。
原著に収録されている図版もこのように再現している。
第6巻末に収録されている索引。研究上、非常に有用である。
該当記事が分散しており、ともすれば日本関係記事が少ないと思われがちな本書だが、この索引を見ることで関連記事の豊富さと該当箇所をすぐに見つけることができる。
保存に適した美しい革装丁。
元来は厚紙による簡易装丁だったと思われるが、それも綴じ込まれている。