書籍目録

「アジア図」第42, 43, 44, 44図

ライザース親子

「アジア図」第42, 43, 44, 44図

(分割4図を2図ずつ1枚(合計2枚)に結合) 1815年頃? エディンバラ刊

Lizars, (Daniel / Daniel Jr. / John / William Home).

Asia. XLII / XLIII / XLIV / XLV.

Edinburgh, Lizars, c. 1815 ?. <AB2022252>

Sold

4 maps jointed into 2 maps.

44.0 cm x 93.3 cm (XLII & XLIII) / 43.8 cm x 93.6 cm (XLIV / XLV), 2 folded colored maps.

Information

18世紀末から19世紀前半のスコットランドを代表する地図製作家であるライザース親子が手がけた分割4図からなる巨大なアジア図

 このアジア図は全4枚の分割図を組み合わせて構成されている大型の地図で、1815年頃に当時のスコットランド出版会を代表するライザース家が手がけたものです。ライザース家は、その創始者であるダニエル(Daniel Lizars, 1754 - 1812)と息子たち(Daniel Lizars Jr., 1793 - 1875 / William Home Lizars, 1788 - 1859)によって19世紀当時のスコットランドにおける地図製作や解剖学書の分野で非常に高い評価を得ており、彼らが手がけた大型のアジア図に描かれた日本は、一定の影響力を有した重要な地図であると思われます。

 この図は42番から45番までの番号が振られた分割図4枚で構成されており、ライザース家によって刊行されていた何らかの地図帳に収録されていた地図ではないかと思われます。彼らが手がけた地図帳として著名な作品では、Edinburgh Geographical Historical Atlas. Edinburgh, c1831.が知られていますが、この地図帳に収めるには本図は非常にサイズが大きいため、おそらくこの地図帳以外の何からの作品に収録されていた図ではないかと推定されますが、正確なところは不明です。

 日本との描き方については、同時代の西洋製地図としてはそれほど精度が高いものとは言えない地図ですが、全体の輪郭や位置関係などは比較的性格に描いており、また北海道の輪郭や、樺太を島として描いている点などは同時代の地図と比べてもより正確性を高めているようにも見受けられます。日本の内陸地に関する情報はほとんどありませんが、沿岸地域の情報は相対的に充実しています。中国や朝鮮半島については、日本よりも書き込まれている情報量がかなり多く、また地形なども描き込まれており、ライザースがこの地図を制作した当時に有していた地理情報の偏りが反映されているようで、非常に興味深いアジア図となっています。いずれにしましても、当時の西洋製地図の中でも、これほど大きな図面を用いて描かれたアジア図はそれほど多くなく、当時のスコットランドで大きな影響力を有していたライザース家が手がけたアジア図として、一定の影響力があったと考えられることから、重要なアジア図、日本図の1枚と目されるべき地図でしょう。