書籍目録

『銅版画を用いた人体解剖図詳解』

ワルエルダ / (杉田玄白ら『解体新書』)/ プランタン

『銅版画を用いた人体解剖図詳解』

新版(ラテン語初版複製版) 2001(1566)年 パリ(アントワープ)刊

Valverde de Amusco, Juan.

VIVAE IMAGINES PARTIVM CORPORIS HVMANI ÆREIS FORMIS EXPRESSÆ.

Paris(Antwerp), Louis Pariente(Officina Christophori Plantini), MMI(2001)(M. D. LXVI.(1566). <AB2022120>

Sold

Nouvelle Édition(facsimile ed. of 1st ed.).

21.5 cm x 30.5 cm, pp.[I(Title.), II], III-VI, pp.[1(Title.)-8), 9-153, 23 leaves, 1 leaf, Original brown imitation leather.

Information

『解体新書』の扉絵のモデルとなった解剖図譜の複製版(ラテン語初版)

ただいま解題準備中です。今しばらくお待ちくださいませ。

「(前略)蘭学とはオランダ語によって西洋の学術を研究しようとする学問で、江戸中期以降盛んになる。当時の日本はヨーロッパとの交流が極端に制限されていたが、西欧からの文化は長崎の出島を通じて流入し続けていた。とくにオランダやフランドル地方で印刷されたおびただしい数の地誌、博物誌、医学書はわが国を西欧的自然科学へ目を向けさせた。蘭書と呼ばれるオランダ語書籍にオフィシーナ・プランティニアーナ発行の刊本が数多く含まれていた。蘭書は正規の貿易品としてばかりでなく、各船員のプライベートな取引品(つまり密貿易品)としても持ち込まれ、船員たちは日本で現金化したり特産物などと交換していた。おそらくワルエルダ『銅版画を用いた人体解剖図詳解』も同様のルートを辿って日本に入ってきたのだろう。
 『解体新書』はクルムス著『ターヘルアナトミア』オランダ語版を杉田玄白、前野良沢らが和訳し出版したもので、本文の他に26ページ分の挿絵が同著から引用されたが、なぜか扉絵だけはワルエルダ『銅版画を用いた人体解剖図詳解』から採用されている。『ターヘルアナトミア』タイトルページは解剖の様子が露骨すぎたため敬遠されたのか、あるいはワルエルダ『銅版画を用いた人体解剖図詳解』のタイトルページが人体解剖所らしい印象を自然に持たれたのか、その辺りの事情を杉田や絵師である小田野直武は何も言及していない。」
(中西保仁「オフィシーナ・プランティニアーナと日本」印刷博物館『プランタン=モレトゥス博物館展 印刷革命がはじまった:グーテンベルクからプランタンへ』2005年所収、96、97ページより)