書籍目録

『パリ・イリュストレ(第22・23号)』

山本芳翠

『パリ・イリュストレ(第22・23号)』

1884年 パリ刊

Yamamoto, Hosui.

PARIS ILLUSTRÉ. NUMEROS 22 et 23. (1885 ÉTRENNES: CALENDARIER POUR 1885, par YAMAMOTO)

Paris, [Charles Gillot], (1er Decembre) 1884. <AB202234>

Donated

32.0 cm x 43.5 cm, pp.[193], 194-224, 1 leaf(blank), Disbound.
未製本の状態

Information

山本芳翠による「1885年のカレンダー」を表紙に用いた1884年12月1日号

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「1880年代前半はジュディット・ゴーティエとの交流が深まり、「中国の姫君」といわれるほど東洋に造詣が深かったこの詩人の娘を通じて、芳翠が多くの教養人と知遇を得た時代である。『蜻蛉集』出版の計画は、遅くとも1884年半ばにはほぼ形を整えていたと推測されるが、この豪華な詩集を印刷したのは、当時多色刷り印刷の第一人者であったジロ社であった。この同じジロ社の印刷になる挿絵入り雑誌『パリ・イリュストレ』1884年12月1日号に年末付録として付けられていた1885年のカレンダーは、芳翠の手になるものである。縦37センチ、横25センチという大判の色刷り版画の中央に着物姿の女性が二人、満開の桜の樹の枝に短冊型の月毎のカレンダーを赤い糸で結びつけている場面を表す。一人は鴬色の着物に青い帯を締め地面に座り右手に筆を持つ。手前には硯と筆の入った箱が置かれ、そばには白い短冊が積まれている。青い着物に赤と黄色の帯をつけたもう一人は、立ち上がって枝に短冊を結びつけている。地面には緋もうせんが敷かれ、半襟、襦袢、帯締めの赤がアクセントの美しい色刷り版画である。それぞれの短冊には1日ごとに、キリスト教の祝日 − 4月5日は復活祭、8月15日は聖母被昇天祭、12月25日にはクリスマス−、あるいは3月11日は聖コンスタンティンヌス、4月29日は聖ペテロ、2月5日は聖アガタというように聖人の名が書き込まれ、一枚で1年間使えるカレンダーとなっている。画面右下にはローマ字による "Yamamoto” のサインがみえ、また画面枠外には活字で「1885年カレンダー、山本による」("calendrier pour 1885, par Yamamoto")と印刷されている。」
(高階絵里加『異界の海:芳翠・清輝・天心における西洋』美術の図書 三好企画、2006年、80, 81ページより)