書籍目録

『世界諸国誌』

ホルン / メンケ(編)

『世界諸国誌』

メンケ編集版  1675年 フランクフルト / ライプツィヒ刊

Hornius, Georg (Horn, Georg) / Mancken, L. Ottonis (Mencke, Otto).

GEORGI HORNI ORBIS POLITICUS IMPERIORUM, REGNORUM, PRINCIPATUUM, RERUMPUBLICARUM, Cum Memorabilibus TOTIUS MUNDI, & Geographia veteri ac recenti. Accesserunt Novæ huic editioni Animadversiones L. OTTONIS MENCKEN I,…

Frankfurt(Francoufurti) / Leipzig (Lips.), Joh. Henr. Ellingerum, clɔ. Iɔc LXXV.(1675). <AB2020209>

Sold

12mo(7.7 cm x 13.4 cm), Front., Title., 10 leaves, pp.[1], 2-130, 13[i.e.131], 132-263, 64[i.e.264], 265-385, 86[i.e.386], 387-554, 22 leaves. [Bound together with other work], Contemporary full leather.

Information

全世界の国々と地域の地理と歴史を網羅した当時のベストセラー本に記された日本

 本書は17世紀のドイツ、オランダで活躍した地理学者、歴史学者であったホルン(Georgius Hornius / Georg Horn, 1620 - 1670) の主著の一つで、全世界の国と地域の歴史と地理を包括的に論じた作品です。ホルンはオランダにおいて当時新興の大学であった雷電代で長らく教鞭をとったことで知られており、プロテスタントの立場から数多くの歴史書、地理学書を著しました。本書はその名が示すとおり、彼が知りうる限りの古今東西の国々と地域の歴史と地理とを1冊の書物にまとめ上げた作品で、元々はライデン大学の学生用テキストとして執筆されたものですが、そのわかりやすさから好評を博し何度も再版がなされています。全世界と称するだけあって、本書には日本に関する記述も見られ、ローマ教皇を中心としたカソリック勢力を記述するに際して、その勢力が及んだ地域として日本について(p.163)や、アジアの歴史を論じた箇所で日本の歴史について(p.421-422)、アジアの地理を論じた箇所で江戸や豊後、大阪といった主要都市のこと(pp.535)を論じるなど、短いながらも興味深い記事を読むことができます。本書は、当時流行していたいわゆる「普遍史」に分類される作品の一つと考えられますが、包括的でありながらそのわかりやすさから多くの読者を獲得したとされる作品に登場した興味深い日本の記述ということができるでしょう。