書籍目録

『フェリペ・デ・へスース小華』

マニュエル・ロメロ

『フェリペ・デ・へスース小華』

1914年 メキシコ・シティ刊

Manuel Romero de Terreros.

FLORECILLAS DE SAN FELIPE DE JESUS.

Mexico, JOSÉ BALLESCÁ, MCMXVI (1914). <AB2017124>

Sold

12 cm x 15.8 cm, pp.[1 (Title) -2], 3-31, Original pictorial paper wrappers.
製本当時のページが綴じられているままの、いわゆるUnpoendの状態。

Information

26聖人の一人であるメキシコの聖人フェリぺ・デ・へスースの生涯

 本書は、1914年にメキシコ・シティで刊行された珍しい小冊子です。作者のマニュエル・ロメロ(Manuel Romero de Terreros, 1880 - 1968)は、当時を代表する作家、著述家の一人です。

 メキシコの偉大な聖人としてのフェリペ・デ・へスースは、裕福な両親の希望に沿ってフランシスコ会修道院に入りますが、間も無く脱会。その後商人として貿易活動に従事していましたが、マニラで再びフランシスコ会士となり、サン・フェリぺ号でメキシコに戻る途中に船が難破し、日本の土佐に漂着しました。その際秀吉による積荷没収と処刑の可能性が伝えられたことに対して、スペインの日本に対する領土的野心をほのめかす発言があったと伝えられたため、秀吉が激怒し、フェリペ・デ・へスースを含むフランシスコ会士らが捉えられ、26人が処刑されるといういわゆる26聖人の殉教事件が起きました。

 本書は、この事件を最大のハイライトにしてフェリペ・デ・へスースの生涯を綴ったもので、メキシコ出身の偉大な聖人としての再評価が、ナショナリズムの高揚も受けて興隆していたことも背景にあるものと思われます。、マニュエル・ロメロの作品については数点の所蔵が国内でも認められますが、本書はわずか30ページほどの小冊子のため、メキシコ文学者、キリスト教史研究者にいずれにとってもこれまでほとんど知られることのなかった文献と思われます。

「フェリペ・デ ・ヘスス
  秀吉の命により長崎で磔刑に処せられた26人は、1862年6月8日、教皇ピオ9世により聖人に列聖された。フェリペ・デ ・ヘススは、ヌエバ・エスパーニャへ向かう途中で浦戸に漂着したサン・フェリペ号に乗っていた修道士のうちの一人であった。彼は、ヌエバ・エスパーニャ生まれであったことから、初めて列聖されたメキシコ生まれの聖人として、現在でもメキシコの人びとの篤い信仰の対象となっている。なお、フェリペ・デ ・ヘススが殉教したのは、24歳の時であった。」
(たばこと塩の博物館編『日本メキシコ交流400周年記念特別展 ガレオン船が運んだ友好の夢』たばこと塩の博物館、2010年より)

タイトルページ
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