書籍目録

『ロシア艦上航海記』

カーステンセン

『ロシア艦上航海記』

1884年 コペンハーゲン刊

Carstensen, W(illia)M.

PAA TOGT MED RUSSERE.

KJØBENHAVN, F. BORCHORST'S FORLAG, 1884. <AB2017122a>

¥129,600

12.8 cm x 17.7 cm, Front, Title,1 leaf, pp.[1], 2-227, Original gilt pictorial cloth.

Information

1859(安政5)年、東シベリア総督ムラヴィヨフ率いるロシア艦隊に同乗していたデンマーク士官の航海日記。

「ヴィシェスラフツォフの大著中から日本に関する部分をデンマーク語に訳出して『日本の首府と日本人』(Japans Hovedstad og Japaneserne)なる表題のもとに発表したウィリアム・カーステンセン(William Carstensen, 1828 - 1909)は、幼年期を父親と一緒にアルジェリアやモロッコで過ごしたあと、1841年、13歳で士官学校の生徒となり、1847年に海軍中尉、翌年、フランスの二月革命、ドイツの三月革命と、ヨーロッパ中が戦乱に巻き込まれた時にはコルベット艦フローラ号および蒸気船ガイサー号に乗り込んで従軍した。後述するように1851年から55年にかけてはフランス海軍に所属、カムチャッカのペトロパヴロフスク攻撃に参加、後にレジョンドヌール勲章を授けられた。その体験をふまえた上で、2年後の1857年より60年まで、今度はいわば敵方のロシア海軍に地位を得、アムール艦隊配属となって帰国後に『露国艦上航海記(Paa Togt med Russerne, 1884)』なる回想記を執筆した。

 ウィリアム・カーステンセンはこの回想記において、アムール地区に派遣されたコルヴェット艦ヴォィエヴォーダ号上における体験を、外国人士官として、一歩距離をおいた冷静な判断にもとづいて如実に描写している。外交史に重大な役割を果たした事件の観察、分析といった類の記述はそんなにないが、外国人のカーステンセンがロシア艦の内幕を先入観にとらわれることなく率直に暴露した部分がある(以下略)」
(ヴィシェスラフツォフ / 長島要一訳『ロシア艦隊幕末来訪記』新人物往来社、1990年、付録2 W.カーステンセンと『露国艦上航海記』より)