書籍目録

『全2747点からなる東洋文献(販売)目録:フィリピン、日本、中国関連書目』(ビンデル古書店カタログ第4, 5号)

ビンデル

『全2747点からなる東洋文献(販売)目録:フィリピン、日本、中国関連書目』(ビンデル古書店カタログ第4, 5号)

全2巻(合冊) 1911, 1912年 マドリッド刊

Vindel, P(edro).

BIBLIOTECA ORIENTAL COMPRENDE 2.747 RELATIVAS Á FILIPINAS, JAPÓN, CHINA Y OTRAS PARTES DE ASIA Y OCEANÍA. Con comentarios y 96 reproducciones en facsímil, 15 de ellas tiradas aparte en excelente papel de hilo. TOMO I / II.

Madrid, P. Vindel, MCMXI(1911) / MCMXII(1912). <AB20211715>

Sold

13.0 cm x 19.0 cm. 2 works bound in 1 vol, Vol.1: Title., 1 leaf, pp.[1], 2-436, folded plates: [5], [bound with], Vol.2: Title., pp.[1], 2-251, folded pates: [10], Modern green half leather on green cloth.
表紙はじめ、酸化による紙の劣化や傷みが見られるが製本の状態は良好。当時の書き込みあり。

Information

スペインの名門古書店による手稿類を含む貴重書を多数収録した東洋研究文献目録

「この市(マドリッドのこと;引用者注)のCalle Relatores 街の4に Vindel(ビンデル)という古本屋がある。かなりの珍本を蔵している。殊にその東洋に関するものは1910年及び1911年に出版した2回の書籍目録(Bibliotheca oriental / comprende 2747 obras / relativas á / Filipinas, Japón, China……Tome I, II.)(本書のこと;引用者注)に網羅してある。表紙の写真なども刷り込み、好個のカタログである。予はこの地の図書館で初めてこの書目を見、ある日早速この家を尋ねた。二階住居で、一見しもたやの如くである。午後の2、3時間だけ店を開ける。
 主人はすでに死し(木下が同店を訪れたのは1924年6月のこと;引用者注)、その娘が店を経営している。あくまで肥った年増で、ひどく声が嗄れていた。その奥の部屋の四方の壁には、書架にぎっしりと古い本が積み並べられてあった。
 予は無論カタログを買ったに過ぎぬ。それ以上のことは金の有り余る人のすることである。たとえば Diego Aduarte の HISTORIA DELA PRO / VINDIA DEL SANCTO ROSA-/ RIO DE LA ORDEN DE PREDICADORES EN PHI-/ LIPPINAS, IAPON, Y CHINA……1640. は六千ペタスの価である。(尤も新しいカタログでは四千となっている。四千としても約百二十シリング以上である。1904年ライプチヒでの相場は六百五十マルクであった。)諸式一般は無論、古本もスペインは非常に高い。一般に古本はフランスが割合にやすい。レオン・パジエスの豊富な文庫が市に出た時、日本の図書館は之を買うべきであった。
 東京の丸善と、バロン・オオトリという名をこの店の女主人は知っていた。」

(木下杢太郎『えすぱにや・ぽるつがる記』岩波書店、1929年、, 56-57頁より)