書籍目録

『ギアナ発見記』/『新旧諸国発見記』復刻版

ウォルター・ローリー / ガルヴァーノ(ガルヴァン)著 / ハクルート(訳)

『ギアナ発見記』/『新旧諸国発見記』復刻版

復刻版 2作品合冊 解説小冊子と保存箱付属 1966年(1596年 / 1601年) オハイオ刊(ロンドン刊)

Ralegh, Sir Walter / Galvão, Antonio / Hakluyt, Richard (tr.)

The Discoverie of Guiana [bound with] The Discoveries of the World. Together with small leaflet for the historical introduction by A. L Rowse and bibliographical notes by Robert O. Dougan.

Ohaio (London), The World Publishing Company (Robert Robinson / G. Bishop), 1966 (1596 / 1601). <AB20211712>

Sold

Facsimile edition.

2 vols.(2 works bound in a facsimile book & explanatory pamphlet), Modern vellum stored in a special box.

Information

英語著作においてはじめて日本に言及した作品として知られる名著復刻版

「本書は16世紀前半に活躍したポルトガルの航海家で、植民地行政官でもあったアントニー・ガルヴァーノ(Antonie Galvano, 1503頃-1557)の著作 “Tratado. Que compôs o nobre & notauel capitãno Antonio Galuão,...”(1563)をイギリスの航海研究家であるリチャード・ハクルート(1553頃-1616)が英語に翻訳して1601年にロンドンで刊行したものである。
 彼の父はアフォンソ五世やジョアン二世に仕えた宮廷秘書官とされる。1552年に従兄弟のペドロ・デ・カストロが指揮したナザレ号でインドに渡航している。1535年にジョアン三世からマルク(モルッカ)の商館長に任ぜられ、島々の王たちとの関係を改善し、丁字(フトモモ科の常緑高木で花の蕾から香辛料や油をとる)貿易を安定させた。しかし、彼の後任者はこの貿易をポルトガル王室の独占体制から、一般にも開放する方針を打ち立て、ガルヴァーノは事実上追放された。
 ガルヴァーノは、マルク諸島を離れるとインドを経由して1541年にポルトガルへ帰国した。ジョアン三世に然るべき報酬と待遇を求めたが聞き入れられず、施設に身を置いて執筆活動を行いながら余生を過ごし、本書の原稿もこの頃に書かれたものである。
 原著は大航海時代のアジアについて記されていたが、歴史的事実を細かく知るための資料としては価値が低いとされている。しかし、日本に関する事柄では、ポルトガル人の種子島漂着と鉄砲伝来の年を1542年として、日本人の一般的な認識である1543年より一年早い年を記述している。このため、我が国では本書に『諸国新旧発見記』や『(世界の)発見物語』などの書名をつけて議論を交わしてきた。」
(京都外国語大学付属図書館編『知られざる世界への挑戦:航海、探検、漂流を記した書物百選』2012年、24頁より)

「ガルヴァンは、16世紀前半のポルトガルの航海者。モルッカ諸島の植民地行政官として軍事や民政に功績をあげ、1541年にポルトガルへ帰国後、ポルトガル人の探検航海資料の収集と執筆に努めた。
 1542年ジャンクに乗ったアントニオ・ダ・モッタほか2名のポルトガル人が暴風雨で東に流され、北緯32度の位置に島を見つけて上陸したが、これが古書に財宝のことが語り伝えられるジパンガスらしく、金銀その他財宝を有す、などと記載されている。」
(巽善信 / 神崎順一編『天理大学附属天理参考館・天理図書館創立90周年特別展 大航海時代へ:マルコ・ポーロが開いた世界』天理大学出版部、2020年、153ページ)