書籍目録

『日本雑集』第16・18・20・25号 

堀川柳助 / [ルモアーヌ] 編 / (パリ外国宣教会)

『日本雑集』第16・18・20・25号 

1907-10年  東京刊

Horikawa, Ryusuke / [Lemoine, Clément Joseph] (eds.)

Mélanges JAPONAIS.

Tokyo, Librairie Sansaisha(三才社), 1907-1910. <AB20211685>

Sold

No.16(QUATRIÈME ANNÉE) / No. 18(CINQUIÈME ANNÉE) / No.20 (CINQUIÈME ANNÉE) / No.25 (SEPTIÈME ANNÉE)

15.1 cm x 22.5 cm, 4 issues. / No.16: pp.[417], 418-559. / No.18: pp.[131], 132-170, 179-186, 171-178(MISBOUND), 187-253. / No.20: pp.[375], 376-514, [1], 2. / No.25: Title., pp.[1], 2-144, Original pictorial green paper wrappers.
表紙や背に傷み、破れ等あるが概ね良好な状態。第18号は製本の誤りによるページ順の混乱が見られるが内容は完備。

Information

パリ外国宣教会ルモアーヌ神父が東京で刊行していた仏文日本文化研究雑誌

 本誌は、1904年に東京で創刊されたフランス語雑誌です。1月、4月、7月、10月の年4回発行(季刊)で、カソリック関係書や雑誌の刊行を当時手がけていた三才社によって刊行されていた雑誌で、少なくとも1910年(第28号)まで刊行が続けられました。1904年(第1号〜第4号)、1905年(第5号〜第8号)までは、単に『雑集 (Mélanges)』というタイトルでしたが、1906年(第9号〜)は、『日本雑集 (Mélanges JAPONAIS)』とタイトルを変えて刊行しています。

 三才社は、パリ外国宣教会の神父のルモアーヌ(Clément Joseph Lemoine, 1869 0 1941)が創設した出版社で、『天地人』や『聲』といった日本語雑誌や、『宗教之試金石』といった書籍などを刊行しています。発行人である堀川柳助についての詳細は不明ですが、三才社が刊行する書籍や雑誌の寄稿者、著者として名が上がっていることに鑑みると、同社に関係の深い人物であったことが推測されます。

 本誌は国内で刊行されているにもかかわらず全文がフランス語で書かれていることから、フランス語に親しみのあるカソリック関係者らを読者としていたと思われますが、収録記事の内容はカソリック関係に限らず、日欧交渉史や日本の文化、宗教、文学、言語、歴史研究など実に多岐にわたっています。一例を挙げてみますと、「日本史論」「仏教聖典」「日本の夏」「日本のことわざ」「国家の脅威としてのキリスト教」「黒住教」「日本の仏教研究」「日本の冬」「儒教についての覚書」「熊沢蕃山」「徳川時代の逸話と風習」「1908年の偉大な日本帝国軍による作戦についての記録」などとなっています。寄稿者は在日パリ外国宣教会関係者が中心で、ルモアーヌ自身も度々寄稿していますが、宣教会関係者以外の執筆人も少なくなく、実に多彩な顔ぶれとなっています。

 このように本誌は、パリ外国宣教会の影響下にあった雑誌とはいえ、ルモアーヌや堀川の巧みな編集方針によって、総合的な日本文化研究雑誌と見做しうるような充実した内容を誇っていると言えるでしょう。本誌は日本国内での流通が中心だったと思われますが、関係者によって一部はフランスをはじめとした国外にも流通していたようで、今回見つかったものはいずれもパリで長らく所蔵されていたものです。カソリック研究雑誌としてはもちろんのこと、日仏交流史全般においても非常に興味深い雑誌と言えます。