書籍目録

『日本教会史』

シャルルボア / (細川ガラシャ)

『日本教会史』

新版 全2巻(合冊)  1855年 リエージュ刊

Charlevoix, P(ierre-François-Xavier). de.

HISTOIRE DU CHRISTIANISME AU JAPON, OU L’ON VOIT LES DIFFÉRENTES RÉVOLUTIONS QUI ONT AGITÉ CETTE MONARCHIE PEDANT PLUS D’UN SIÉLE.

Liége, H. Dessain, 1855. <AB202156>

Sold

New edition (Nouvelle Édition)

Large 12mo (13.0 cm x 20.3 cm), 2 vols. bound in 1 vol. / Vol.1 : Half Title., Front., pp.[I(illustrated Title.)-III(Title.)-V], VI-XXII, [1], 2-336. / Vol.2: Half Title., Front., illustrated Title., Title., pp.1-334, 2 leaves(blank), Contemporary three-quarter leather.
装丁のマーブル用紙がほとんど剥がれてしまっているが、製本や本体の状態は良好。[Laure: JL-1855-KB2-724-501]

Information

大変珍しい細川ガラシャを描いた図を収録

 本書は18世紀に探検家、著述家として活躍したフランスのイエズス会士であるシャルルボア)Pierre-François-Xavier charlevoix, 1682 - 1761)の著作である『日本におけるキリスト教の興隆と発展、そして凋落の歴史』(Histoire de l’éstablissement, des progrés et de la décadence du christianisme dans l’Empire du Japon. 3 vols. Rouen, 1715)を新たに2巻本に編纂して再版したしたものです。シャルルボアによる同書は、「他のイエズス会士の著した『日本史』と同様にキリスト教布教史を中心的なテーマとして扱いながらも、ケンペルの著作に対抗する目的でカトリックの視点から見た日本の文化や社会に関する総括的な記述も掲載している。同書は『教化』目的で版を重ね、フランスのカトリック界を中心にその日本観の形成に多大な影響を与えた」(フレデリック・クレインス編(国際日本文化研究センター所蔵日本関係欧文図書目録:1900年以前刊行分』第4巻(1853年以前)臨川書店、2018年、xiii頁)と言われており、本書もまさに「『教化』の目的で版を重ね」た数多く存在する後年版の一つです。

 本書が数多く存在する後年版の中にあってユニークなのは、第1巻と第2巻の冒頭に独自の口絵を新たにに設け、またタイトルページも図と装飾を用いた独自のタイトルページを採用している点で、特に第2巻の装飾タイトルページには、細川ガラシャの最後の場面を描いと図が採用されていることです。細川ガラシャについては、生前からイエズス会士による日本報告によってヨーロッパに伝えられており、その没後も、17世紀初めから数多く出版されてきたカソリック教会関係者による「日本教会史」「日本殉教史」に類する書物に繰り返し登場し、イエズス会による教育劇の主題ともなるほどよく知られていましたが、ガラシャの姿を図で描いたものは非常に少なく、本書に収録されている図は、想像によるものとはいえ、ヨーロッパにおいて視覚的にどのようなガラシャ像が形成されていたのかを知る手がかりとなる非常に貴重なものであると思われます。