書籍目録

『日本紀行』

リンダウ / 西周(序文)

『日本紀行』

オランダ語訳版 1865年 ライデン刊

Lindau, Rodolphe / Nisi, Sioesoeke(Preface).

JAPAN. Eene reisbeschrijving.

Leyden, De Breuk & Smits, 1865. <AB202138>

Sold

Edition in Dutch.

8vo, pp.[I(Title.)-V], VI-VII, 1-264, Contemporary (not original) card boards.

Information

西周が序文を寄せたリンダウの幕末日本見聞記のオランダ語訳版

「西暦1865年(元治2・慶応元)和蘭 Leyden の書肆 De Breuk & Smits から Japan. Eene reisbeschrijving naar het Fransch van Rodolphe Lindau. という八ツ折り判264頁の書物が出版された。
 当時(我が幕末から明治の初年)欧米人は開国当初の我国に対して非常な注意と興味を持っており、その頃出版された日本関係の図書は、優に一部の書目をなして尚餘りある程である。前出リンドウ氏(1829-1910)の日本紀行もそのような時期に上梓せられたもので、その内容は他の多くの書と等しく混乱過渡期の日本にきたプロシヤ(スイスの誤りか;引用者注)の一外交官の紀行文に過ぎないが、ただ本書には日本人の手に成る序文が附せられていて、他の類書とは、異なったものである。同書には書名の下に少々小文字で Met eene Voorrede van NISI SIOESOEKE, Japansch officier en Leerling in de Regtsgeleerdheid to Leyden と記され(原表紙の記載、本書では改装されているためこの表記はない;引用者注)、1863年より1865年まで和蘭に留学した西周助(のち西周)の書いた序文がある。
 現今においてこそ邦人の序文はおろか、著書さえも珍とするものは一人もないが、開国早々の当時のものとしては珍しい事柄ではないであろうか。(中略)
 これは恐らくはヨーロッパの文献に現れた日本人の序文の最初ではなかろうかと思う。(後略)」
(八木佐吉『書物往来』東峰書房、1975年、137-138頁より)