書籍目録

『1920年8月1日プログラム』

東京帝国劇場 / (東洋汽船会社)

『1920年8月1日プログラム』

1920年 刊行地不明

The Imperial Theatre Tokyo / (Toyo Kisen Kaisha).

Aug. the 1st 1920 and Every Evening at 5:00. Plays: I. The Vendetta of the Soga Brothers. II. Kayano Sampei. III. The Swindler Jirokichi. IV. Urban Dance.

1920. <AB2020374>

Sold

15.2 cm x 22.3 cm, 6 leaves including covers, Original pictorial paper wrappers.

Information

『今日は帝劇、明日は三越』で一世を風靡した帝国劇場の英文パンフレットの見開きに大きくに掲載された東洋汽船会社の英文広告

 この英文パンフレットは、1911年に渋沢栄一らの発案によって竣工された帝国劇場の1920年8月1日の演目を紹介したものです。英文で記されていることからわかるように、主に国内の観客向けのものではなく、海外からの訪日外国人向けに作成されたものと思われます。当日の演目とキャスト、その簡単なあらすじなどが紹介されていて、日本語を介さない人が観覧するに際の手助けとなるような内容となっていて、今となっては当時の演目内容や出演者の人名がわかる貴重な資料です。それと同時にこのブックレットが興味深いのは、訪日外国人の消費活動に関連する企業や商店の英文広告が多数掲載されていることです。

 見開きに大きく掲載されているのが、当時サンフランシスコ航路を運営していた東洋汽船会社で、サイベリア(Siberia)丸の写真を中心に配し、8月、9月の横浜を出港するサンフランシスコ航路線の簡単な案内が掲載されています。東洋汽船会社以外にも、ミキモト真珠や高島屋など、訪日外国人観光客が土産品等を購入するために立ち寄る機会が多かった商店の広告も掲載されていて、このブックレットが、帝国劇場に観覧に訪れる外国人観光客に対する観劇ガイドとしての役割を果たす一方で、彼らを対象とした広告集としての意味も有していたことがわかります。


「『今日は帝劇、明日は三越』のフレーズで知られた帝劇のパンフレット。都市文化の発展と共に大正時代の気分が反映された劇場である帝劇のパンフレットに東洋汽船の広告が掲載される。」
(吉井大門『東洋汽船そのあしどり:創業・発展・合併』日本郵船歴史博物館、2014年、12頁より)