書籍目録

『宣教史、世界各地から送られたカソリック宣教師の書簡集:日本書簡集 第1巻(1548年から1564年)と第2巻(1565年から1580年)(全3巻中)』

[エーグラオアー]

『宣教史、世界各地から送られたカソリック宣教師の書簡集:日本書簡集 第1巻(1548年から1564年)と第2巻(1565年から1580年)(全3巻中)』

ほか1作品合冊 1795-6年 アウグスブルク刊

[Eglauer], Anton.

Die Missionsgeschichte späterer zeiten, oder gesammelte Briefe der Katholischen Missionare aus allen Theilen der Welt....Der Briefe aus Japan. Erster Theil, vom Jahre 1548 bis 1564. Zweiter Theil, vom Jahre 1565 bis 1580.

Augsburg, Nicolaus Dall, 1795-6. <AB2020352>

Sold

vol.1 and 2 only (of 3 vols.), bound together with vol.3 of another work(Briefe aus Ostindien, 1581-1599.) .

8vo (10.3 cm x 17.3 cm), 3 works bound in 1 vol. vol.1: pp.[I, II(Front.), III(Title.)-V], VI-LXIV, [1], 2-372, 1 leaf(errata). vol.2: pp.[I, II(Front.), III(Title.)-V], VI-LVI, [1], 2-379, 1 leaf(errata). vol. 3 of another work(Briefe aus Ostindien, 1581-1599.) :1 leaf(blank), , pp.[I, II(Front.), III(Title.)-V], VI-LII, [1], 2-488, 1 leaf(errata). Later three quarter blue cloth on marble boards.
[Laures DB: JL-1795-KB1-662-453] / JL-1794-KB3-661-452]

Information

豊かな学識を持つ編者によってドイツ語で編纂された日本書簡集

 本書は、ザビエルが日本渡航を決意するきっかけとなったアンジローとの出会いについて記した1548年から1580年に至るまでの、日本へ布教に訪れた宣教師たちが書簡をドイツ語に翻訳して編纂したものです。全3巻からなる大部の企画で、本書はそのうちの第2巻までを収録しています。宣教師の報告や年報は、彼らが実際に活動していた16世紀以降ヨーロッパ各地で様々な言語に翻訳されて刊行されていますが、ドイツ語によるこれだけまとまった書簡集は、本書において初めて登場したのではないかと思われます。

 本書中にその名前は見えませんが、編者であることが推定されているエーグラオアー(Anton Eglauer, 1752 - 1824)は、主にウィーンで活躍したイエズス会士で、彼が活躍した時代はイエズス会が一時的に解散の憂き目にあっていた時代にもあたっていますが、学識に優れた著作家としても知られ、本書以外にも東インド前半を対象とした書簡集(Der Briefe aus Ostindien: 1548-1599. 3 vols. Augsburg, 1794) の編纂や、ザビエル書簡集(Gesammelte Briefe des heiligen Franciscus Xaverius. 3 vols. Augsburg, 1794)の編纂も手がけています。彼の手がけたこれらの書簡集は、各巻冒頭に口絵を付し、編者による解説文、収録書簡の概要を付した目次を設けた上で、ドイツ語に翻訳された書簡が収録されていて、その収録分量が非常に大きいことに加えて、優れた学識を誇る編者による質の高い編纂がなされている点に特徴があります。

 本書は彼が編纂した日本書簡集の第1巻と第2巻、東インド書簡集の第3巻が1冊に合冊されています。日本書簡の第1巻は、1548年から1564年までの書簡を収録して1795年に、第2巻は、1565年から1585年までの書簡を収録して1796年に刊行されています。第1巻の口絵には、ザビエルが豊後(Bungo)の王(大友宗麟)に謁見してその教義を説く場面が描かれていて、第2巻の口絵では、宗麟が(フランシスコ・カブラル)から洗礼を受けている場面が描かれています。ちなみに、第3巻は1581年から1585年までの書簡を収録し、天正遣欧使節がローマ教皇グレゴリウス13世に謁見する場面を描いた口絵を付して1798年に刊行されています(国際日本文化研究センター、上智大学キリシタン文庫が所蔵)。各巻の最初には、収録されている書簡を理解する上で欠かせない、当時の日本の歴史的な背景事情、編纂にあたって依拠した書簡集や文献が編者によって解説されていて、短いながらも充実した「日本教会史」とも言える内容となっています。またそれぞれの書簡についても、目次においてその概要が簡単に説明されていて、これらの解説や目次における概要からは、編者の日本の歴史や書簡内容に対する深い理解と学識が垣間見えます。

 ザビエルの伝記や書簡集は19世紀に入ってから、ドイツ語圏で再び活発に出版されるようになりますが、本書をはじめとした編者による一連の書簡集は、ドイツ語圏におけるイエズス会による東洋宣教の歴史に対する関心や、日本に対する関心を改めて喚起する契機になったのではないかと思われます。優れた学識を備えた編者によって編纂された本書は、質の高いドイツ語訳書簡集としての価値を有することに加え、19世紀のドイツ語圏における日本観の(再)形成に際して影響を与えた書物としても、重要な日本関係欧文図書と言えるでしょう。


「1795~98年にドイツのアウグスブルクで刊行された、イエズス会士の日本からの書簡(1548~1585年)をまとめたドイツ語版の書簡集(全3巻)。本書はそれぞれの書簡が年代順に収録された3巻本で、各巻とも前半はローマ数字、後半はアラビア数字のページ番号が付されている。ローマ数字部分には、序文(第1巻のみ)、各巻の書簡の要旨と短い抜粋が載せられ、アラビア数字部分は、詳しい内容が載せられている。
 第1巻は、1548~1564年の書簡(39通)をまとめたもので、扉絵には、豊後王(大友宗麟)の前で、聖フランシスコ・ザビエルと仏僧との宗論の様子が収められている。
 第2巻は、1565~1580年の書簡(20通)をまとめたもので、絵には、豊後王(大友宗麟)の洗礼の場面が掲載されている。
 第3巻は、1581~1585年の書簡(12通)をまとめたもので、扉絵にはローマ法王グレゴリオ13世に謁見する日本の少年使節団(天正遣欧使節)の様子が描かれている。」
(文化遺産オンライン 「イエズス会士日本書簡集(ドイツ語版) いえずすかいしにほんしょかんしゅう(大分市歴史資料館)」より)